
2025年以降の厳格化の可能性
2025年8月、日本の外国人向け在留資格「経営・管理」ビザの要件が
大幅に厳格化される見込みと報じられました。
このニュースは、新規の起業家だけでなく、既存の経営者にも
大きな不確実性をもたらしています
目次
何が変わる?「改正案」のポイント
これは、日本政府が「日本で事業を行うに値する外国人経営者」の
定義を見直す、政策的な意思の表れ
資本金要件の6倍増!
500万円から3,000万円へ
- 現行の500万円は、日本の経済規模や物価水準に合わないと見なされていました。
- 3,000万円への引き上げは、申請者の経済的基盤と事業への本気度を測る高いハードルへ
常勤職員1名以上の雇用義務化
少なくとも1名以上の常勤職員
(日本人、特別永住者、永住者、または「日本人の配偶者等」)を
雇用することが義務化される提案があります
- 常勤職員の雇用は、給与や社会保険料など継続的なコストを伴います
- 経営者一人の「一人社長」モデルは、事実上対象外となることを意味します
「OR」から「AND」へ
「3000万円以上の資本金」かつ「1人以上の常勤職員の雇用」の両方を満たすことが必須
現状と今後の見通し:事実と憶測
- 法務省や入管庁からの正式な法改正の発表はまだありません 。
- 政府は2025年内の省令改正を目指していると報じられています。
- しかし、公式なルール変更を待たず、審査の現場ではすでに
「ソフトな厳格化」が始まっています。 - 例えば、500万円ぎりぎりの申請や従業員がいない事業への審査が
厳しくなり、不許可が増加しています。 - 「様子見」はリスクが高く、今すぐ積極的な準備が必要です
スクロールできます
項 目 | 現行制度 | 改正案 | 主な変更点 |
---|---|---|---|
最低投資額 | 500万円 | 3,000万円 | 6倍に増加 |
常勤職員 | 2名以上 (資本金の代替要件) | 1名以上(必須要件) | 代替から必須条件へ |
基本論理 | 投資 または 雇用 | 投資 かつ 雇用 | 柔軟性喪失、複合要件化 |

なぜ厳しくなるのか?政府の意図
制度の悪用防止:「ペーパーカンパニー」問題
- 名義だけの会社や単純労働・家族呼び寄せを目的とするケース
- 特に民泊事業を隠れ蓑にしたビザ取得が悪用されたと指摘
- 政府は、資本金で「経済的な本気度」を、雇用で「運営上の実体」を
ふるいにかける意図
国際水準との整合性:「格安ビザ」からの脱却
- 日本の現行500万円(約3万5000米ドル)は、他の先進国と比べて著しく低い水準
- 例えば、韓国は約3000万円、米国のE-2ビザは実務上1500万~3000万円以上が目安
- 日本は「安価で簡単に居住資格が手に入る国」と見なされてきた
- 日本の起業家ビザの質とブランド価値を国際水準に合わせる意図
形式審査から実質審査へ
- 入管庁の審査方針は、形式的なチェックから
事業の「安定性・継続性」を総合的に評価する方向へシフト - 事業計画書の内容や収益予測の信憑性、経営経験がより深く問われるようになっています
- 審査実務の変化を正式なルールとして成文化するもの
- 事業計画書の質と実現可能性を裏付ける証拠がこれまで以上に重要
誰が、どう影響を受けるのか?
新規申請者への影響:著しく高まる参入障壁
- 初期投資の少ない飲食店や貿易業など、小規模事業にとっては「致命的な打撃」
- 堅実な中小企業を立ち上げようとする、若手の起業家は参入が非常に困難
- 潤沢な自己資金を持つ富裕層に有利
既存のビザ保有者への影響:厳格化する更新審査の実態
- すでにビザを保有している人に対し、遡って3000万円への増資が求められる可能性は低い
- ビザの更新審査が格段に厳しくなる可能性は高い
- 2025年半ばからは「事業の経営・管理内容を具体的に説明する文書」の提出が義務化
- 事業の停滞や慢性的な赤字は不許可に直結する危険信号
- 既存の保有者は、事業活動を緻密に記録し、収益性を証明する努力が必要
- 常に「稼ぎ続けなければならない」資格へと変貌
- 長年にわたる一貫した黒字経営、納税実績、従業員の雇用の維持が、これまで以上に重要に
もう一つの物語:全国に拡大する「スタートアップ・ビザ」

経営管理ビザの厳格化は、特定の起業家に対する規制緩和という、
もう一つの動きと同時に進行しています。
- 経営管理ビザの門戸が狭められる一方で、「スタートアップ・ビザ」
(外国人起業活動促進事業に係る告示)の対象が2025年から全国に拡大しました - この制度は、起業を志す外国人が、事業準備のために最長2年間、日本に滞在することを許可するもの
- 滞在中に500万円の資本金や独立した事務所といった要件を満たす必要がない
- 起業家は法人設立前に、市場調査や資金調達、コワーキングスペースでの活動に専念できます
意図的な二重構造:日本の新たな起業家誘致戦略
政府のメッセージ(きっとこんな感じ)
- 革新的だが資金がないなら、スタートアップ・ビザを
- 安定した経営と雇用創出が期待される伝統的なビジネスをしたいなら、裕福でなければならない
経営管理ビザは まだ 最適な選択か?
この新たな状況下で、申請者は経営管理ビザが唯一、あるいは最善の選択肢であるかを、
これまで以上に慎重に検討する必要があります
- 初期資金が限られている起業家にとって、スタートアップ・ビザは、以前よりも魅力的な入口
これから経営管理ビザ申請を検討している方へ
- 直ちに3000万円の資金計画を開始してください
- まだ数カ月は500万円の資本金で、と考えるのはリスクが高すぎます
- ビザ申請の審査機関が、通常数カ月かかること
- 複数の情報源が「年内施工」を示唆、「最終調整に入った」、との報道あり
- まだ数カ月は500万円の資本金で、と考えるのはリスクが高すぎます
- 資金の出所を厳しく審査されるため、その形成過程を証明する資料(「金銭消費貸借契約書」等)を綿密に準備
- 「ペーパーカンパニー」との疑いを払拭できる、非の打ちどころのない事業計画書が不可欠
- 物理的な事務所確保、顧客からの契約書添付、具体的な雇用計画など、事業の現実味をあらゆる側面から補強
- 初年度から少なくとも1名分の給与と社会保険料を、財務予測に必ず含めてください
- 早い段階から人脈を築き、候補者を探し始めることが賢明
経営管理ビザ申請、してみたいけど…..
- 事業計画書の作成、むずかしそう
- ほかに、法人設立では、何に気を付けたらいいの?
- そもそも、経営管理ビザが最適な選択なのかな?
お気軽にお問い合わせください。

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